
平安初段は伝統派空手【松濤館流】で一番最初に習う形です。
平安初段には空手の基礎が詰まっており、初心者はもちろん熟練者も何度も何度も練習し習熟させる必要がある基本の形です。
特に初心者のうちは空手の動きそのものを見慣れていないので、形の動きや順番を覚える事に苦労します。
まずは平安初段の形の挙動数と技の順番を覚えて流れを理解しましょう。
それが出来れば自分で練習や振り返りが出来るようになるので、上達が早くなります。
それではこの記事を参考に、平安初段を覚えていきましょう。
【平安初段】
平安初段は全部で21挙動です。
基本の形で、前屈立ちと後屈立ちの基本の立ち方と基本的な技で構成されています。
用意
平安の形は全て開始の姿勢は一緒です。
結び立ちで一礼し、両手の拳を軽く握りながら、左足→右足の順で脚を開き八字立ちとなります。
1挙動
左側へ前屈立ちの下段払い。
右脚を軸にし、右踵を中心に左側へ重心移動します。
手は拳を握ったまま、右手は左腰の前に突き出すように出し、左手は右肩前へ。
左側へ前屈立ちをすると同時に左手で下段払いをし、右手はしっかり引手を取り帯の横へ。
2挙動
左脚を軸に前進して右の追い突き(順突き)。
追い突きの時、つい力が入って右肩が前に出てしまう人は多いです。
身体の方向は正面を向かせ、右手の突きと左で腰を切るようにすると上手く見えます。
3挙動
後ろ側に右下段払い。
左足を軸に後ろ方向に180度転身します。
この時、左の膝を折り曲げて一度重心を後に持ってくると安定して回転出来るようになります。
手は右の追い突きした後、180°回転している時に素早く、右手は左耳の横、左手は進行方向に甲を上向きにして前方へ出しておき、右手と入れ替えるように下段払い。
4挙動
右手で拳槌縦廻し打ちという技を打ちます。
3挙動で前屈立ちの右下段払いの状態から、右手を掴まれた状態を想定してください。
右足を半歩引き寄せつつ、右手は肘を伸ばしたままで、自分の身体の左前側に引き寄せます。
そこから肘を曲げて、左肩前→額の前と拳を廻し、半歩引いた右足を元の位置に戻して前屈立ちとなると同時に右拳の小指側が下になるように縦廻し打ちをします。
この時の拳の位置は肩と水平の高さになるように気をつけましょう。
5挙動
右脚を軸にして左の追い突き。
注意点は2挙動目と一緒です。
6挙動
右脚を軸に左に90°転身して下段払い。
3挙動目と同じように、一度右膝を折り曲げて重心を後ろに移動しつつ、左足を右足に近づけるように少し戻してから移動する方向へすり出すように足さばきをするとスムーズに動けます。
右拳は引手の位置から左腰の前へ、左拳は右肩の上へ動かし、左足を前にすり出すタイミングで右手は引手を取り、左手で下段払いします。
左拳の位置は、左膝上で膝拳一つ分隙間が空く位置を目安にしましょう。
7挙動
右前屈立ち、右上段揚げ受け
左手を開掌し、手のひらを前側にし、額の前に挙げます。
左脚を軸に前進して右前屈立ちになると同時に、右手と左手で顎から胸付近の位置で十字を作るように交叉させ、左手は引手を取り、右手は額の前側拳一つ分の位置になるよう揚げ受けします。
8挙動
左前屈立ち、左上段揚げ受け
右脚を軸に前進し、7挙動目の左右反対の動きで上段揚げ受け。
慣れてくると、7、8、9挙動の連続揚げ受けを繋げて技を繰り出す練習をすると良いでしょう。
9挙動(気合)
7挙動と同じ左上段揚げ受け。
この9挙動目で「エイッ!」と気合の発生が必要です。
10挙動
左前屈立ち、左下段払い。
10挙動目は少し難しいです。
右脚を軸に270度半時計周りに回転して、右側へ下段払い。
回転すると同時に左手は右肩の上、右手は左腰の前にしておきましょう。
右脚が軸となるので、左脚を右脚に一度引き寄せて回転すると、体幹の軸がブレずに回転出来ます。
右脚は9挙動目の前屈立ちで曲がっているはずなので、回転する時にも曲げたままで行うのもポイント。
ここで膝が伸びきってしまうと重心が上下してしまい、安定しません。
回り過ぎにも注意!
270度を最初にしっかり回転するよりかは、180度回転し後ろ向きになってから、残りの90度は左足を左側にすり出すようにすると、回転した力をうまく制御出来て下段払いが出来ます。
11挙動
右前屈立ち、右追い突き。
右脚を前方にすり出して、右の追い突きをします。
正身でしっかりと中段を突きましょう。
12挙動
右前屈立ち、右下段払い。
11挙動の追い突きから、180度回転して後ろ方向に下段払いです。
一度左脚の膝を折り曲げながら重心を後方に移して、回転すると動作が安定しやすいです。
13挙動
左前屈立ち、左追い突き
左脚を前方へすり出して、左の中段追い突き。
正身で突く事と、右膝はしっかり伸ばして、脚を締めるよう気をつけましょう。
14挙動
左前屈立ち、左下段払い。
左側へ90度方向転換し、左下段払いをします。
13挙動では、左前屈立ちなので、左脚は前側にあります。
一度左脚は軸となる右脚へ引き寄せつつ、すばやく左側90度の位置へすり出します。
左脚を引き寄せるタイミングで、下段払いをするために左拳は右肩の上、右拳は左腰の前側へ位置させ、左下段払いをすると同時に右手は引手を引きましょう。
15挙動
16挙動
左前屈立ち、左追い突き
17挙動(気合)
右前屈立ち、右追い突き
15~17挙動で3本連続前に追い突きをします。
3回連続で同じ技を行う時は、技の強弱や緩急を意識しましょう。
15、17挙動の追い突きは力強く、16と17挙動を繋げて行うと技の強弱、緩急が出来ます。
18挙動
左後屈立ち、左手刀受け
右脚を軸に反時計回りに270度回転して、左手刀受けをします。
右膝は曲げたままで、左脚を右脚に引き寄せながら回転します。
回転動作と同時に両手は開掌し手刀の形を作った状態にし、左手は右首から右耳の下へ掌側を内向きに位置させ、右手は左腰の前側に掌側を下向きに位置させます。
左脚をすり出しながら後屈立ちとなると同時に、左手刀受け。
左手の位置は肩の高さで、右手の位置は水月に掌側を上向きにして水平にしましょう。
一気に270度回転しようとすると、勢いが強すぎてビシッと止まるのが難しくなりますので、180度回転で一度後ろに振り向いてから、左側へ左脚をすり出し後屈手刀受けをするようにするときれいに動けます。
19挙動
右後屈立ち、右手刀受け
左脚を軸に右斜め45度方向に右足をすり出すと同時に、右手は左肩上に、左手は右腰の前に手の甲上向きに持ってきて、右の手刀受けを行います。
右足を前にすり出す時に、前に進む気持ちで手刀受けをしてしまうと、後屈立ちがうまくいかないので、軸となる左脚に体重を乗せたまま、左股関節を折り曲げ重心を移動させないように意識すると後屈立ちが上手く出来ます。
20挙動
右後屈立ち、右手刀受け
左脚を軸に右方向に135度転身し、右手刀受け。
右手刀受けの連続になるので、右手刀受けをした後の右手を右肩上に、左手は甲を上向きに右腰前にしてから手刀受け。
ここも後屈立ちのコツは19挙動と同じで、軸足(左)に重心を残す感覚で右足を前にすり出しましょう。
21挙動
左後屈立ち、左手刀受け
右脚を軸に左斜め45度方向に左手刀受け。
動きは19挙動目と左右反対になるだけです。
平安初段最後の挙動になるので、ビシっと後屈立ちで左手刀受けを決めましょう。
18~21挙動までの連続して4方向に手刀受けをする動きは、平安二段や観空大などの形にも出てきます。
今のうちからしっかり練習しておきましょう
まとめ
平安初段は一番基本の形となります。
前屈立ちと後屈立ちといった基本的な立ち方、半身と正身の違い、突きや受けを基本に忠実に出来ているかがポイントになります。
平安初段で習得する基本は、この先の形全てに通ずるものがあります。
しっかりと練習しておくと、その後の形の習得スピードが向上するでしょう。
Youtubeの動画と並行してみてもらうと覚えやすいのでお勧めです。
形の流れや実際の動作はYoutubeの動画で、動画では早すぎて付いていくのが難しい所はこの記事を読んで、平安初段を覚えていきましょう。